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母が実家に住み続けるための「配偶者居住権」|家を相続しなくても住める制度

母が実家に住み続けるための「配偶者居住権」|家を相続しなくても住める制度

まずこれだけ母の住まいと生活費の両方を確保できるか、分け方を決める前に検討する

⚠️今すぐ避けるべき操作
  • ✕「家は母が相続すればいい」と、生活費の確保を考えずに決めない
  • ✕配偶者居住権を取得しても、登記をしないまま放置しない
  • ✕配偶者居住権は譲渡・売却できないことを知らずに選ばない
  • ✕二次相続まで含めた税負担を確認せずに決めない

この記事のリスク判定

低:正しい手順で進めれば問題になりにくい中:判断を誤ると損をする可能性がある高:法的トラブル・詐欺被害のリスクがある
危険度:中

費用面・業者選びなどで判断を誤ると、想定より高額な請求や手間の増加につながることがあります。契約前の確認事項を先にご確認ください。


板挟みの構図


父が亡くなり、遺産が「実家(2,000万円)と預貯金(2,000万円)」だったとします。相続人は母と子1人、法定相続分は2分の1ずつ。


母が実家を相続すると、それだけで取り分を使い切ります。 預貯金は子へ。母は住む場所は確保できても、生活費が手元に残りません。


逆に母が預貯金を相続すると、家は子のものになります。 生活費はあるが、住む場所の保証がない。


この板挟みを解消するために、令和2年(2020年)4月1日以降に発生した相続から、配偶者居住権が認められるようになりました。


制度の考え方


法務省の説明によれば、配偶者居住権とは、残された配偶者が被相続人の所有していた建物に居住していた場合に、一定の要件を満たすとき、被相続人が亡くなった後も、賃料の負担なくその建物に住み続けることができる権利です。


発想は単純です。「所有権」と「住む権利」を分けて、それぞれ別の人に割り当てる。


| | 誰が取得するか | 内容 |

|---|---|---|

| 配偶者居住権 | 母 | 住み続けられる権利 |

| 所有権(負担付き) | 子 | 所有はするが、母が住んでいる間は使えない |


住む権利の分だけ所有権の評価が下がるため、母は家全体を相続するより少ない取り分で住まいを確保でき、残りを預貯金で受け取れます。


先ほどの例で言えば、母は「配偶者居住権(仮に1,000万円相当)+預貯金1,000万円」、子は「負担付きの所有権1,000万円+預貯金1,000万円」という分け方が可能になります。母の手元に生活費が残ります。


成立するための要件


法務省が示す要件は次の3つです。


1. 残された配偶者が、亡くなった人の法律上の配偶者であること

2. 配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなったときに居住していたこと(夫婦で共有する建物でも構いません)

3. 遺産分割、遺贈、死因贈与、または家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得すること


内縁関係では成立しません。 また、相続開始時にその建物に住んでいたことが必要なので、施設に入っていた場合などは要件を満たさない可能性があります。


自動的に発生する権利ではありません。 遺産分割で決めるか、遺言で与えるか、審判で認められるか——いずれかの手続きが必要です。


登記をしないと意味が薄れる


配偶者居住権は登記できます。 法務省は、登記することによって、取得した配偶者居住権を第三者に主張できるようになると説明しています。


登記しないと、どうなるか。 所有権を持つ子が、その家を第三者に売却してしまった場合、買主に対して「私には住む権利がある」と主張できないおそれがあります。


家族間だから大丈夫、とは考えないでください。 子が借金の担保に入れる、子が先に亡くなってその相続人が売却を望む——いずれも起こりうることです。


配偶者居住権を取得したら、登記まで済ませてください。 相続登記と同じく法務局での手続きになります(相続登記は2024年4月から義務です)。


選ぶ前に確認すること


売却できません。 配偶者居住権は、その配偶者が住むための権利であり、他人に譲渡することはできません。 「将来施設に入るときに売って資金にする」という使い方はできません。


この点は重要です。 高齢の配偶者が、数年後に施設入所を検討する可能性があるなら、家を所有して売却できる形のほうが柔軟な場合があります。


税金の扱いを確認してください。 配偶者居住権は相続税の評価対象になり、配偶者の税額軽減(配偶者は1億6,000万円まで相続税がかからない)や小規模宅地等の特例(実家の土地の評価が8割減る「小規模宅地等の特例」)との関係も含めて、一次相続と二次相続を通した試算が必要です。


建物の維持管理をどうするか決めておいてください。 通常の必要費は配偶者が負担するとされていますが、大規模な修繕や固定資産税の扱いなど、実務上の分担は事前に話し合っておくべきです。 ここが曖昧だと、後で揉めます。


遺言で与えることもできる


生前に配偶者居住権を遺贈しておくという選択肢があります。遺産分割の話し合いを待たずに済むため、配偶者の住まいを確実に確保したい場合には有効です。


遺言の話をどう切り出すかは親が元気なうちに片付けの話をどう切り出すか、遺言書が見つかったときの手続きは片付け中に遺言書が出てきたらを参照してください。


よくある質問


# Q. 母が亡くなったら、この権利はどうなりますか?


配偶者居住権は、その配偶者の死亡によって消滅します。 相続の対象にはなりません。消滅すると、所有者(子)が完全な所有権を持つことになります。


# Q. 母が施設に入ったら、家を貸せますか?


所有者の承諾があれば第三者に使用・収益させることができるとされています。ただし勝手にはできません。事前に条件を話し合っておいてください。


# Q. 子と関係が悪く、家を追い出されないか心配です。


だからこそ登記が重要です。 登記していれば、第三者に対しても権利を主張できます。遺産分割の際に、必ず登記まで行ってください。


# Q. 短期間だけ住みたい場合は?


被相続人の建物に無償で住んでいた配偶者が、遺産分割が終わるまでの一定期間その建物に住み続けられる仕組みも設けられています。期間や要件が異なるため、司法書士・弁護士に確認してください。


参照した公的情報





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この記事について

トシぼう

実家の片付けと相続を、自分の家族の問題として調べている個人です。専門家ではないため断定的な助言はせず、 公的機関の一次情報にもとづいて判断材料を整理しています。専門家へ相談すべき場面はその旨を明記します。 内容に誤りや古い情報を見つけた場合は、お問い合わせページからご連絡ください。確認の上、修正いたします。