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農地・山林を相続したときの届出|法務局の相続登記とは別に必要な手続き

農地・山林を相続したときの届出|法務局の相続登記とは別に必要な手続き

まずこれだけ登記事項証明書と固定資産税の課税明細で、地目に農地・山林がないか確認する

30秒で分かる結論

  • ・農地を相続したら、その農地がある市町村の農業委員会に届出が必要です(農地法3条の3)
  • ・森林の土地を取得したら、所有者となった日から90日以内に市町村長へ届出が必要です
  • ・いずれも法務局の相続登記とは別の手続きで、登記だけでは完了しません
⚠️今すぐ避けるべき操作
  • ✕宅地だけを見て、田畑・山林の存在を見落とさない
  • ✕相続登記さえすれば手続きは終わり、と考えない
  • ✕農地を宅地として売る・貸すことを、転用の可否を確認せずに前提にしない
  • ✕管理できないからと、届出をしないまま放置しない

この記事のリスク判定

低:正しい手順で進めれば問題になりにくい中:判断を誤ると損をする可能性がある高:法的トラブル・詐欺被害のリスクがある
危険度:中

費用面・業者選びなどで判断を誤ると、想定より高額な請求や手間の増加につながることがあります。契約前の確認事項を先にご確認ください。


相続登記だけでは終わらない


実家の相続手続きというと、法務局での相続登記が思い浮かびます。2024年4月から義務化され、期限も設けられました(相続登記は2024年4月から義務です)。


しかし、土地の種類によっては、これとは別の届出が必要です。


  • 農地(田・畑) → 農業委員会への届出
  • 森林(山林) → 市町村長への届出

どちらも制度の存在自体が知られていないため、見落とされやすい手続きです。


まず、何を相続したのかを把握する


意外と多いのが、「農地や山林があることを知らなかった」というケースです。


親が農業をしていた記憶がなくても、代々の土地として田畑や山林が残っていることがあります。確認する方法は2つ。


1. 固定資産税の課税明細書を見る。毎年送られてくる納税通知書に、所有している土地の一覧と地目が載っています。「田」「畑」「山林」という記載がないか確認してください。


2. 名寄帳(なよせちょう)を取る。 市町村で、その人が所有する不動産の一覧を取得できます。課税明細に載らない非課税の土地も把握できるため、こちらのほうが確実です。


相続財産の全体像を把握する段階で、この確認をしておいてください(相続人を確定させる戸籍集め)。


農地を相続したとき


相続によって農地の権利を取得した場合、その農地がある市町村の農業委員会に届け出る必要があります(農地法3条の3)。


通常の農地の売買や貸借には農業委員会の許可が必要ですが、相続の場合は許可ではなく届出です。相続は当事者の意思で選べるものではないためです。


農林水産省は、この届出の目的として、相続などによる農地の権利取得を農業委員会が把握し、農地の有効利用に努めるためと説明しています。


届出をすると、農業委員会から支援を受けられる場合があります。 農林水産省の案内によれば、相続した人が地元を離れていて自分では手入れができない場合に、農地の管理についての相談や、地元で借り手を探す手伝いをしてもらえるとされています。


「管理できないから困っている」という状況こそ、届け出る意味があります。 放置して荒らすより、借り手を探してもらうほうが現実的です。


届出の期限や、届け出なかった場合の取り扱いについては、農地法および同施行規則に定めがあります。 具体的な期限と必要書類は、その農地がある市町村の農業委員会に直接確認してください。 様式は農業委員会の窓口やホームページで入手できます。


森林(山林)を相続したとき


森林の土地の所有者となった方は、所有者となった日から90日以内に、市町村長へ届け出る必要があります。


林野庁の案内によれば、売買や相続等により森林の土地を新たに取得した方は、面積にかかわらず届出が必要です。「小さい山林だから対象外」ということはありません。


この制度は、森林の所有者を把握し、適切な管理につなげるためのものです。


90日という期限は短いので、山林があると分かった時点で市町村の林務担当窓口に確認してください。


農地は「売る・貸す・宅地にする」が自由にできない


相続後の扱いで注意が必要な点です。


農地を農地以外の用途に変えること(転用)や、農地を売買・貸借することには、農地法上の許可が必要です。相続で取得したこと自体は届出で済みますが、その後どうするかは別の規制がかかります。


  • 「宅地にして売ろう」→ 転用の許可が要る(立地条件によっては許可されない)
  • 「駐車場にしよう」→ 同様
  • 「農家でない人に売ろう」→ 農地としての売買にも要件がある

不動産業者に相談する前提で考えていると、話が進まないことがあります。 まず農業委員会に、その農地で何ができるのかを確認してください。


管理できない場合


農地も山林も、放置すると周囲に影響が出ます。 農地は雑草や害虫の発生源になり、山林は境界の不明確化や災害リスクにつながります。


選択肢としては次のようなものがあります。


  • 農業委員会に相談して、借り手を探してもらう(前述)
  • 農地中間管理機構(農地バンク)の仕組みを確認する
  • 相続土地国庫帰属制度を検討する(いらない実家の土地を国に引き取ってもらう)。ただし適切な森林管理がされていない土地は不承認要件に該当しうるとされており、山林は判断が難しい類型です
  • 相続放棄(ただし他の財産も放棄することになり、期限は3か月)

どれも「すぐに手放せる」ものではありません。 だからこそ、相続の段階で存在に気づき、早めに窓口へ相談することが効きます。


よくある質問


# Q. 農地を相続しましたが、農業をするつもりはありません。


それでも届出は必要です。 そのうえで、農業委員会に管理や借り手探しの相談ができます。「使わないから届け出ない」は、後の選択肢を狭めます。


# Q. 相続登記をすれば、農業委員会には自動的に伝わりますか?


別の手続きです。 法務局の登記と、農業委員会への届出は連動しません。両方が必要です。


# Q. 山林の場所が分かりません。


名寄帳と公図で確認できます。 市町村の窓口で相談してください。現地の特定が難しい場合、境界が明らかでない土地として、後の処分で問題になります。


# Q. 田畑がありますが、もう何年も耕作されていません。


耕作放棄地であっても、地目が農地であれば農地法の規制がかかります。 まず農業委員会に現況を相談してください。


参照した公的情報






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この記事について

トシぼう

実家の片付けと相続を、自分の家族の問題として調べている個人です。専門家ではないため断定的な助言はせず、 公的機関の一次情報にもとづいて判断材料を整理しています。専門家へ相談すべき場面はその旨を明記します。 内容に誤りや古い情報を見つけた場合は、お問い合わせページからご連絡ください。確認の上、修正いたします。