生前整理でまず見落とされがちなもの
生前整理というと、まず思い浮かぶのは「物を減らすこと」かもしれません。しかし、それ以上に見落とされやすく、かつ発見されないと問題になりやすいのがデジタル資産です。
国民生活センターは、生前整理の一環として「デジタル遺品リストを作りましょう」と呼びかけています。ネット銀行の預金、証券口座のインターネット取引による金融資産、暗号資産、電子マネーなどは、通帳や証書のような「モノ」が残らないため、本人が生前に情報を残しておかないと、家族が存在に気づけないまま埋もれてしまう可能性があります。
何から始めればいいか
一度にすべてを片付けようとすると、途中で挫折したり、必要なものまで処分して後悔することにつながります。次のような順番で、少しずつ進めるのが現実的です。
1. 重要な契約・財産関係の書類を確認する:通帳、保険証券、不動産の権利証、年金関係の書類など
2. デジタル資産をリスト化する:利用しているネット銀行・証券会社・暗号資産取引所の名前と、ID・パスワードの保管場所(内容そのものを書き残す必要はなく、「どこに保管しているか」が分かれば十分です)
3. 家族と共有する範囲を決める:全てを今すぐ伝える必要はありませんが、「何かあったときにどこを見ればよいか」だけは分かるようにしておきます
4. 日用品・思い出の品の整理は、その後に少しずつ:「今日はこの引き出し」「来週はこの棚」のように範囲を区切って進めます
高齢者の生前整理で注意したいこと
生前整理を行う本人が高齢者の場合、体力面・消費者トラブル面の両方で注意が必要です。
- 重い物の運搬や高所での作業、長時間の作業は、ケガや体調不良につながりやすいため避け、こまめに休憩を取りながら進めます
- 訪問営業やチラシをきっかけに、その場で高額な生前整理・不用品回収サービスを契約してしまうトラブルが起きています。見積もりは書面で受け取り、その場で即決せず、家族に相談してから契約するようにしてください
よくある質問
# Q. デジタル資産の情報を家族に伝えるのが不安です。全部教える必要がありますか?
いいえ。パスワードそのものを今すぐ共有する必要はありません。「どの銀行・証券会社を使っているか」「情報をどこに保管しているか」が分かるようにしておくだけでも、発見されないまま放置されるリスクは大きく減らせます。
# Q. 生前整理と遺品整理は何が違いますか?
生前整理は本人が存命のうちに自分の意思で行う整理、遺品整理は本人が亡くなった後に遺族が行う整理です。生前整理をしておくことで、遺品整理の際に相続放棄の判断(実家の片付け、何から始める?を参照)に影響する財産の扱いに悩む場面を減らせます。